【かんたん解説】オースチン・メトロってどんなクルマ?

オースチン・メトロというクルマをご存知でしょうか?

メトロはクラシック・ミニの後継車として登場したイギリス車です。多くの個体が下駄代りとして消費されてきましたが、近年ではその価値を見直す向きもあります。

もう一つの顔として、ラリーシーンでも記憶に残る活躍をしたクルマです。

今回はこの初代オースチン・メトロについて解説します。

概要

Mini Metro 1983 pre any facelifts 1275cc.JPG
By Charles01, CC BY-SA 3.0, Link

オースチン・メトロはイギリスの自動車メーカー、ブリティッシュ・レイランド(以下BL)によって生産された小型車です。同社を代表するミニの後継車として登場しました。

メトロが登場したのは1980年。当時のBLはラインナップの旧態化が目立ってきており、久々の新型車として期待が寄せられていました。

ライバル車としてはフォード・フィエスタやオペル・コルサ、フォルクスワーゲン・ポロなどが挙げられます。ライバル車と比較すると安価で広い室内がアドバンテージで、イギリス国内では一定の人気を獲得しました。

メトロという車名は社内投票で決められたもの。すでに同名の企業が存在していた為、宣伝上は「ミニ・メトロ」と呼んでいました。

初代モデルは1990年まで販売され、同年にローバーブランドから2代目となるローバー・メトロが登場しています。1994年には100シリーズと改称して3代目へ移行しました。しかし3世代に渡り基本設計が初代から変わらなかった為、年数が進むと古さが目立つようになります。結局ミニよりも早い1998年にメトロの系統は姿を消しました。

ボディ

ボディは当時の小型車で主流になっていた3ドア・ハッチバックを採用。取り立てて特徴のない、オーソドックスなスタイルです。

1985年には5ドア・ハッチバックが追加されています。また一部カスタムビルダーによってカブリオレ仕様も製作されました。

1990 Rover Metro GS Automatic 1.3 Rear.jpg
By Vauxford, CC BY-SA 4.0, Link

メカニズム

メトロはエンジンやサスペンションなど、多くのメカニズムをミニ等の他車種から流用しています。

エンジン

エンジンはミニのBMC Aタイプを改良して使用しています。BLではAプラスと呼んでいました。

圧縮比を上げ、吸気系を改良することで燃費と静粛性を上げています。

排気量はミニと同じく1.0Lと1.3Lの2種類が用意されました。

サスペンション

サスペンションにはハイドラガス式を採用しているのがメトロの特徴です。これにより優れた乗り心地を実現しています。

ハイドラガスとは、金属スプリングの代わりに窒素ガスと液体がその役割を果たす構造です。メトロの他に1クラス上のマキシやアレグロにも同機構が使われています。メトロにはアレグロ用の設計を流用しています。

バッジエンジニアリング・モデルたち

当時のBL車の例に漏れず、メトロはバッジエンジニアリングによってオースチン以外のブランドでも展開されています。

MG・メトロ

1989 MG Metro Turbo 1.3 Front.jpg
By Vauxford, CC BY-SA 4.0, Link

オースチン・メトロから遅れて1982年、MGからもメトロが登場しました。オースチンよりもスポーティーな性格で、エンジンは1.3Lのみの設定となります。

特筆すべきは、1983年に追加されたメトロ・ターボでしょう。文字通りターボを装着したハイパフォーマンス仕様で、1.3Lにギャレット製ターボチャージャーを装着。馬力は93psへ向上しています。

モーリス・メトロ

1982年にモーリス版のメトロが登場しました。

モーリス・メトロに用意されたのは商用のバンモデルのみ。バンモデルはリアサイドのウィンドウが埋め込まれているのが乗用モデルとの外観上の違いです。

1984年にはモーリスブランド廃止により消滅。バンモデルはオースチンから引き続き販売されました。

MG・メトロ 6R4

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By Graham RichardsonP1100759, CC BY 2.0, Link

WRCの最上位カテゴリーであったグループBに参戦すべく生まれたのがMG・メトロ6R4。

エンジンは3.0L V6のDOHC24バルブ。380~410psのパワーを誇ります。他のグループBマシンが軒並みターボを装着していたのに対し、メトロ6R4ではレスポンス重視のために敢えて自然吸気を採用しているのが特徴です。

このエンジンを後部座席があったスペースにマウントし、ビスカス式センターデフによる4WDとしています。

グループBの規定通り200台ほどが生産されました。そのうち20台はワークスチーム用に渡され、残り180台は「クラブマン・バージョン」としてプライベーターの手に渡っています。

WRCへの参戦は1985年の最終戦からで、そこでは3位入賞を収めました。翌1986年からフル参戦しますが、同年限りでグループBは中止。メトロ6R4の活躍は1シーズン程度の限定的なものでした。

豆知識

幻の2ドアセダン

メトロ開発時には3ボックス形状の2ドアセダンも計画されていたようです。フォルクスワーゲンのポロをベースとした2ドアセダン、ダービーと競合するはずでした。しかしながらメトロが量産される頃には、2ドアセダンの開発は中止されてしまいました。

ダイアナ妃の愛車

ダイアナ妃のかつての愛車が赤いメトロでした。

パパラッチが撮影した写真の一部にその姿が確認できます。

このクルマは現存していて、イギリスの博物館に展示されているようです。

まとめ

ミニの後継車として登場したメトロは、新車開発の遅れていたBLにとって救世主でした。

ハイドラガス式サスペンションによる乗り心地の良さはクラストップレベルを実現。

MG名義で参戦したグループBではV6をドライバーの後ろに搭載したモンスターマシンへ変貌しています。

残念ながらミニを凌ぐ人気は得られなかったものの、メトロならではの価値がいま見直されてきています。

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