アウトビアンキ/ランチアY10ってどんなクルマ?イタリア発の革新的小さな高級車を解説!
By Corvettec6r, Public Domain, Link
現在イタリアのみで販売を続けるランチアは、イプシロンただ1車種のみがラインナップされています。
今回解説するのはこのイプシロンの祖先といえる車、アウトビアンキ/ランチアY10です。
- アウトビアンキA112の後継車
- プレミアム志向のシティカー
- 新開発のFIREエンジンを搭載
- オメガアーム・サスペンションを初採用
目次
アウトビアンキ/ランチアY10とは
アウトビアンキ/ランチアY10はアウトビアンキA112の後継車として登場した小型車です。
Y10の属するシティカークラスの中でもプレミアム志向のモデルとして開発され、目論見通り富裕層にも選ばれる小型車として人気を博しました。
アウトビアンキ歴代のモデル同様に新技術をいち早く盛り込まれており、後のフィアット・パンダのメカニズムに影響を与えています。
販売地域によってアウトビアンキかランチアで販売ブランドの使い分けがされていました。日本ではA112の人気が高かった為か、アウトビアンキ・ブランドで販売されていました。
国内の正規輸入販売は当初フィアットの輸入代理店ジヤクスが手掛けていましたが、後にマツダのオートザムがランチアの輸入権を取得し、オートザムの店舗で扱われるように。しかしオートザムでの販売は長続きせず、1992年に実施されていたマイナーチェンジモデルは導入されず正規輸入が終了してしまいます。
1994年には生産終了し、これをもってアウトビアンキ・ブランドは完全に消滅。同年に登場したランチアY(イプシロン)が後継車になります。
アウトビアンキは1955年にビアンキとピレリ、フィアットが共同で設立したブランドです。
ビアンキは今では自転車メーカーとして知られていますが、創業して間もなくオートバイ、そして4輪自動車に参入した歴史があります。1899年に設立されたビアンキの自動車部門がアウトビアンキのルーツといえます。
フィアット傘下のアウトビアンキは新技術を先駆けて導入する実験的なブランドとしての側面を持つようになります。アウトビアンキのクルマに採用して有用性が実証できればフィアット車に展開、というパターンは数多く存在しています。
アウトビアンキ/ランチアY10の特徴
エクステリア
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A112とは打って変わって直線基調のモダンなデザインに生まれ変わったY10。垂直に切り立ったテールゲートは黒色で固定されているのが特徴です。
空力性能を重視してデザインされており、空気抵抗係数(Cd値)は0.31という優れた数値をたたき出しています。
1992年のマイナーチェンジでは下の画像のようにフロントマスクとテールデザインが大きく変更されました。この後期型モデルは日本に正規輸入されなかった為、国内で見かけるのは非常に稀です。
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インテリア
インテリアは小さな高級車の名に恥じないクオリティの高いものでした。
ダッシュボードやドア内張部にはアルカンターラ素材を使用。
上級グレードになると当時まだ珍しかったパワーウィンドウ、集中ロック、エアコンが標準装備されます。
メカニズム
エンジン
エンジンはFIREと呼ばれる999ccと、A112から継続使用の1049cc、1049ccのターボ仕様という3つのラインナップが用意されました。
1989年のマイナーチェンジでは1108ccのFIREと、ターボに代わる1300ccのFIREが追加されています。
FIREエンジンとはロボット組立により生産を自動化したのが特色のエンジン。自動化により生産能力が大幅に向上し、コスト削減を実現しました。ちなみにFIREはFully Integrated Robotized Engineの略 で、完全ロボット生産によるエンジンというニュアンスの頭文字です。
FIREエンジンはY10で初めて採用された新技術の一つで、後にパンダやウーノ等、多数のフィアット車に採用されていきます。
サスペンション
後輪のサスペンションにはオメガアーム式サスペンションを初採用。
オメガアームとは名の通りアームが”Ω“の形をしているのが特徴。オメガアームはスペース効率に優れ、Ω中央部の窪みにはガソリンタンクが配置されています。
画期的な発明だったオメガアーム式サスペンションも、パンダやウーノへ採用されていきます。
まとめ
今回はランチア・イプシロンのルーツでもあり、アウトビアンキA112の後継車、Y10について解説しました。
Y10は正規輸入されたクルマであるものの、現在の国内のタマ数はかなり少なく、探すのは根気がいります。
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