【知る人ぞ知る自動車ブランド解説】ジオ(Geo)
今日までに膨大な数が生まれてきた自動車ブランド。
その中から知る人ぞ知るマニアックなブランドを紹介するシリーズです。
今回はゼネラルモーターズ(GM)が設立した「ジオ」を取り上げます。
目次
概要
By Kevauto, CC BY-SA 4.0, Link
ジオは1989年にGMが設立したブランド。販売地域はアメリカとカナダの2カ国でした。
シボレーの下位に位置する最廉価ブランドで、小型車に特化したラインナップが特徴。
販売されたクルマのほとんどは日本車がベースで、生産拠点は日本メーカーとの合併企業であるCAMIオートモーティブやNUMMIが中心でした。アメリカで生産することで、課税が掛けられていた日本車よりも安価だったのが強みの一つ。
ジオ単独のディーラーは無く、シボレーと同じ店舗で販売されました。それ故にシボレーの小型車との身内競合が発生してしまい、この問題は最後まで尾を引くことになります。
設立の背景
ジオ発足の背景には、アメリカの小型車市場を席巻していた輸入車勢(特に日本車)の存在があります。
輸入車は安価で故障率が低く、低燃費であることから、70年代のオイルショック以降シェアを拡大していました。
GMは小型車のシェアを奪還すべく、自前のニューモデルを送り出していましたが、牙城を崩すまでには至りませんでした。中には安直なバッジエンジニアリングが生んだキャデラック・シマロンのような問題作も散見され、小型車のノウハウ不足に悩まされます。
そこでGMは株式を保有していたスズキといすゞ、それにアメリカ現地生産のパートナーを探していたトヨタと提携し、各メーカーの小型車を現地生産する戦略を採ります。
輸入車は安価といえどもアメリカに入るには関税が掛けられます。現地生産であればそれがないため、より安価に提供できたのです。
こうして生産された小型車を取り扱うブランドとして、ジオは生まれました。
終焉
立上げ当初は小型車人気に支えられて一定の成功を収めたものの、90年代の半ばに入るとSUVブームが到来。
ジオのラインナップとは真逆の、大柄なSUVやピックアップトラックが好まれるようになり、ジオの販売は低迷しました。
加えて前述のシボレーとの身内競合も解決せず、ジオの存在感は薄くなる一方。
そして1997年でブランドを終了させる方針が決定されます。一部車種はシボレーから販売という形で生き残りました。しかしその後も車種統合が進み、ジオから生まれた車名はほぼ消滅してしまいました。
ラインナップ
小型車に特化したラインナップながら、セダンやクーペにSUVとバラエティーに富んだボディスタイルが用意されました。
メトロ
By IFCAR, Public Domain, Link
ジオのエントリーモデルを担っていたのがメトロ。
初代はスズキ・カルタス(2代目)の姉妹車にあたります。1995年にモデルチェンジした2代目はGM独自で設計したモデルです。
生産はGMとスズキの合併会社であるCAMIオートモーティブにて行われました。
メトロは簡素な装備で価格が抑えられ、日本車レベルの品質と故障の少なさを実現。販売から瞬く間にジオを代表する人気車になりました。
ジオ廃止後はシボレーから2001年まで継続販売されています。
ストーム
By IFCAR, Public Domain, Link
3代目いすゞ・ジェミニをベースにした小型クーペ。
日本ではフロントマスクを変更してジェミニ・クーペとして登場しています。またヤナセからはストームのフロントマスクのままでPAネロという名称で販売していました。
ジオのクルマとしては珍しく日本で生産されていたクルマです。
手ごろなクーペとして販売は好調でした。しかしながらいすゞの乗用車撤退により1993年には販売終了します。
プリズム
By IFCAR, Public Domain, Link
トヨタ・スプリンターがベースの小型セダン。初代はAE90、2代目はAE100がそれぞれ基になっています。
生産はGMとトヨタの合併会社NUMMIにて行われました。
車格がシボレー・キャバリエと完全に被ってしまい、ジオの中でも特に身内競合に悩まされた1台。多くのディーラーではキャバリエの方に力を入れていました。それでもクルマとしての出来は良かったため、歴代を通じて100万台は販売されています。
ジオ廃止以降はシボレーブランドへ切り替わり、同時にAE110ベースにモデルチェンジ。2002年まで販売されました。
トラッカー
By Kevauto, CC BY-SA 4.0, Link
スズキ・エスクードのバッジエンジニアリングとなる小型SUVです。
横転問題により販売が低迷していたスズキ・サムライ(ジムニーの北米版)の実質的な後継車という側面もあります。
生産はメトロと同じくCAMIオートモーティブが担当(最初の1年ほどは日本で生産)。
オフロードと街乗りを両立したトラッカーは幅広いユーザーから支持され、ロングセラーとなります。
ジオ廃止後は2代目エスクードの姉妹車としてモデルチェンジし、シボレーから販売されました。
トラッカーという車名自体は今も南米向け小型SUVとして存続しています。
スペクトラム
ジオ発足からプリズム登場までの繋ぎとして、1年間ほど販売されていたクルマ。
ベースはスタントCMで有名ないすゞ・ジェミニで、4ドアセダンと3ドアハッチバックが用意されました。
まとめ
ジオはGMにより設立された、小型車に特化したブランド。目には目を、ということなのか、日本車に対抗するために日本車を用意してきたわけですが、そのことで好評を集めて当初の販売は好調でした。
最後は小型車需要の減少とGM内でのブランドの棲み分けが上手くいかなかったことにより、10年足らずで廃止されてしまいます。
日本では馴染みのないジオですが、90年代GMの混沌とした小型車戦略を窺い知れるブランドです。
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