【知る人ぞ知る自動車ブランド解説】サターン

2022年7月6日

今日までに膨大な数が生まれてきた自動車ブランド。

その中から知る人ぞ知るマニアックなブランドを紹介するシリーズです。

今回はゼネラルモーターズ(GM)が1980年代に設立した「サターン」を取り上げます。

概要

'96-'99 Saturn SC 2-Door.jpg
By Bull-Doser, Public Domain, Link

サターンとは、アメリカのGMがかつて展開していたブランド。1985年に設立し、90年に最初のクルマの販売がスタートしました。

想定メインターゲットは日本車を購入していたホワイトカラー層。

日本車のアメリカ市場のシェアは1970年代以降急速に拡大。アメリカBIG3は日本車の強みである小型車分野でシェア奪回すべく、ブランド設立や日本メーカーとの提携などで模索していた時期でした。サターンもこうした動きの一つといえます。

他のGMブランドとは違い、サターンは単独のディーラーを持ち、後述する様にそれらを「リテーラー」と名付けました。それまでのディーラーのあり方を変えるべく、販売面での改革が行われていたのもサターンの特徴です。

特色

サターンの特色は環境・メンテナンス性への配慮と新しい販売システムの採用でした。

環境・メンテナンス性の配慮

環境への配慮の一環として、サターンの為に新設されたテネシー州のスプリングヒル工場では、建設時に元々敷地内にあった木々を別の場所へ植え替える活動が行われました。

クルマにはドアやフェンダーに樹脂製パネルを採用。多少のへこみであれば復元できるのが特徴で、環境への配慮に加えてメンテナンスコストでもメリットがあることをアピールしていました。

「リテーラー」の整備

サターンではディーラーの事をリテーラーと呼びました。

それまでのGMディーラーに付いて回っていた悪評を払拭すべく、新しい販売スタイルをサターンに取り入れています。

具体的には、接客マニュアルの徹底、値引き無しによる不公平感の払拭、スタッフ総出の納車セレモニー、待合室の整備などが行われました。

こうした改革によって、当時GMディーラーに蔓延していた負のイメージの一新に努めています。

日本への展開

サターンは1997年より日本市場に進出したことがあります。

本国での販売スタイルはそのまま踏襲されました。日本でもそのスタイルは話題を呼び、国内メーカーのディーラーも手本にしたと言われています。

クルマも日本市場の為だけに右ハンドル仕様を用意する力の入れよう。

日本での販売は、当初こそ話題性と共に台数を伸ばしました。ところが次第に知名度とディーラー網の貧弱さが仇となり販売は低迷。

2001年には日本市場から撤退してしまいます。

終焉

日本市場から撤退して以降はアメリカとカナダでの販売に注力していきました。

ラインナップは拡大し、Sシリーズの後継車アイオンやSUVのビュー、2シータースポーツのスカイなどをデビューさせます。

しかし、90年代から始まった大型SUV・ピックアップトラックのブームがサターンの販売を伸び悩ませます。

加えてサターン購入者の大半は既にGM車を所有していたというデータが分かりました。日本車からのシェア奪回というより、GM車同士の食い合いが起きている状況が露見されたのです。

晩年にはオペルのバッジエンジニアリング車がラインナップの殆どを占め、サターン設立当初の哲学は失われていました。

2009年にはGMの経営破綻を受け、ブランド整理対象に。売却も検討されましたが、最終的にサターンは2010年限りでの廃止が決定されたのでした。

ラインナップ

ターゲットが日本車ということもあり、ラインナップは小型~中型車がメイン。

ここではサターンの中でも独自性の強いモデルを紹介します。

Sシリーズ

1996-1999 Saturn SL2 -- 03-16-2012.JPG
By IFCAR, Public Domain, Link

サターンの主力車種で、トヨタ・カローラやホンダ・シビックのクラスに属します。

ボディはセダン、クーペ、ワゴンの3つが存在し、それぞれSL、SC、SWという名称で区別されます。

1990年にデビューし、2003年まで2度のフルモデルチェンジを実施。いずれもキープコンセプトで、グリルレスに寄り目の横長ヘッドライトという特徴的なフロントマスクは全世代共通です。

Sシリーズで話題になるのが、クーペのSCで1999年に追加された観音開きドア。左側に設けられ、後部座席へのアクセスを容易にする工夫がされていました。

Sシリーズは2004年に後継車アイオンへとバトンタッチしました。

EdjaySL.jpg
By Karrmann, CC BY-SA 3.0, Link

アイオン

Saturn-Ion-RedLine.jpg
By IFCAR, Public Domain, Link

Sシリーズの後継車として登場した小型車。

ボディはセダンとクーペが用意されました。クーペは観音開きドアもSCから継続採用しています。

当時のスポコンブームに合わせてか、ハイパフォーマンスモデルのレッドラインが追加されました。外観には専用エアロパーツが奢られ、走りはターボにより205psを発揮しています。

サターンのアイデンティティをうまく継承したように見えるアイオンですが、2006年限りで生産終了となってしまいます。後継車はオペル・アストラのバッジエンジニアリング車で、車名もそのままアストラでした。

Lシリーズ

2000-2002 Saturn L-Series, front 4.18.19.jpg
By Kevauto, CC BY-SA 4.0, Link

1999年に登場した、Sシリーズの1クラス上に位置するセダン/ワゴンです。

セダンはLS、ワゴンはLWと名称が分けられます。

このクルマも日本導入が計画されていましたが、その日本でのサターン販売不振により見送られています。本国でもLシリーズの販売は芳しくなく、2004年には廃止されました。

Lシリーズの後釜としては2006年にオペル・ベクトラベースのオーラが登場しています。

ヴュー

02-05 Saturn Vue.jpg
By IFCAR, Public Domain, Link

2002年に登場した、サターン初のSUV。

シボレー・エクイノックスと共通のプラットフォームに、サターン独自のデザインが与えられた小型クロスオーバーです。

2004年にアイオンと同じくスポーティなレッドラインが追加。また2007年にはハイブリッドモデルであるグリーンラインも登場しました。

2008年には第2世代へフルモデルチェンジしますが、オペル・アンタラの完全なバッジエンジニアリングとなります。

スカイ

2008 Saturn Sky Redline in Bluestone, front left.jpg
By Mr.choppers, CC BY-SA 3.0, Link

サターン唯一の2シータースポーツカー。

ポンティアック・ソルスティスがベースになっており、スペックもソルスティスに準じた内容。

エンジンは2.0Lターボと2.4L NAの2種類で、ターボ車にはレッドラインのグレード名が付きました。

外観はソルスティスに対して手が加わり、異なる印象を与えています。

まとめ

今回はGMがかつて展開していたブランド、サターンを紹介しました。

サターンは企画当初のコンセプトこそ良かったものの、残念ながら2000年代に入ると迷走してしまった感が否めません。

当時のGMは日本車への対抗策としてブランドが乱立していた時期。サターンも混沌としたブランド戦略から生まれた一例といえます。

おすすめの一括査定サービスとは?

今のクルマを少しでも高く売りたいという時に、複数の買取店から買取額を比較できる一括査定サービスが便利です。

しかし申し込むと複数の買取店から営業電話が何度もかかってくるのが煩わしいところです。

ですがそのような電話ラッシュ無く一括査定できるサービスがあります↓



買取店とのやり取りや買取価格の比較をやってくれるので、手間がかからずに高額売却ができておすすめです。