日産200SX & 240SXとは?シルビア/180SXと比較しながら地域ごとの違いについて解説
生産終了から20年以上経つものの、今なお高い人気を誇る日産自動車の小型スペシャリティカー、シルビア/180SX。
今回の記事では輸出仕様車である200SXと240SXのモデルチェンジを追いながらそれぞれの違いを解説したいと思います。
200SXは特に、同じ名前ながら輸出先によって仕様が全然違かったりするので中々ややこしいのですが、輸出先ごとにモデルの変遷を見ていくことで違いが見えてくると思います。
今回は大きく3つの地域に分けて解説していきたいと思います。
目次
そもそも200SX/240SXとは?
最初に、そもそも200SXと240SXって何だっけ?から簡単に説明します。
200SX
シルビア/180SXの北米/欧州/豪州/アジア向け輸出仕様。
名前はエンジンの排気量2000ccが由来(実際の排気量は例外が多々あります…)。
240SX
シルビア/180SXの北米向け輸出仕様。北米以外の地域では販売されていない。
名前はエンジンの排気量2400ccが由来。
今回はモデル変遷を見ていくにあたり、北米、欧州、オーストラリア/ニュージーランドの3地域に分けています。この3地域間で、シルビアの輸出仕様で同じ名前ながら辿ってきた歴史やスペックが違っていることが分かるかと思います。
北米市場での200SX/240SX
初代200SX (1975~1979) 日本名:シルビア(S10)
200SXの名前が初めて登場したのは、2代目シルビア(S10)の北米仕様からです。
当時の北米日産は日産ブランドではなく、「ダットサン」ブランドでクルマを売っていました。その為このクルマもダットサン200SXという扱いになります。
当時の北米仕様車にありがちな、安全基準を満たすための5マイルバンパーと呼ばれる結構ごついバンパーが付いています。
2代目200SX (1979~1983) 日本名:シルビア(S110)
シルビアが3代目となるS110へ切り替わると同様に、200SXもモデルチェンジ。
このS110と次のモデルとなるS12では2ドアのノッチバックと3ドアのハッチバックの2種類ボディが用意されています。
3代目200SX (1983~1988) 日本名:シルビア(S12)
By Accord14, CC BY-SA 4.0, Link
3代目となるS12は、北米のダットサンブランド廃止に伴い、日産ブランドから登場しました。
変わり種としては、途中から3000ccもの排気量を持つV6エンジン(VG30)を搭載したグレードが追加されています。
北米の200SXはこのS12をもって一旦販売終了し、240SXが後継者として登場します。
初代240SX (1989~1994) 日本名:シルビア(S13)/180SX
200SXの後継者として登場。S13シルビア/180SXの北米仕様車に当たります。
S13シルビアはフロントマスクの形状が北米の安全基準に満たさず、代わりに180SXのフロント周りを採用しています。日本では所謂ワンビアと呼ばれるスタイルですね。
シルビアの車体ベースでオープンモデルも用意されました。日本でもS13シルビアにオープンモデルがありましたが、両車ではそれぞれ異なる業者がオープン化を手掛けています。
エンジンは日本仕様で採用されたCA18/SR20とは異なり、2400ccのKA24が搭載されています。
By SsmIntrigue, CC BY-SA 4.0, Link
日本では180SXの生産は1998年まで続きますが、240SXは1994年で完全に次期モデルに移行しています。バンパーやテールライトの形状が大きく変わった後期型180SXに輸出仕様車は存在しません。
2代目240SX (1994~1998) 日本名:シルビア(S14)
S14にモデルチェンジ。先代から引き続きKA24エンジンを搭載。
シルビアと同様に、大掛かりなマイナーチェンジによって丸い顔つきの前期型とシャープなツリ目の後期型に区別されます。昨今の日本車人気の影響からか、海外でもそれぞれを"Zenki"、"Kouki"と呼ぶようになってきているようです。
後期型になるとフロントバンパーのデザインが日本のシルビアと大分異なるものになっています。ちょっとスカイラインを彷彿とさせるような見た目です。
240SXはこのS14を最後に、1998年で販売終了します。
直接の後継車、またはS15シルビアの北米仕様はありません。
4代目200SX (1995~1998) 日本名:ルキノクーペ
240SX登場によってラインナップから消滅していた200SXですが、1995年に240SXの弟分として復活します。ただし先代までのようなシルビアベースではなく、ルキノクーペの北米仕様車という位置付けです。
エンジンは1600ccと2000ccの二本立てで、スポーツモデルとしてSE-Rを設定。
この200SXは240SXと同じ1998年には販売を終了しています。
By IFCAR, Public Domain, Link
欧州市場での200SX
初代200SX (1989~1993) 日本名:180SX
欧州へ初代200SXとして輸出されたのは180SXで、S13シルビアは投入されていません。
200SXとは名乗っているものの、エンジンは日本仕様と同様、1800ccのCA18です。日本仕様はマイナーチェンジにより2000ccのSR20へ変更されましたが、こちらの200SXは次期型に切り替わるまで一貫してCA18を継続使用していました。
余談ですが、先代/先々代にあたるS12/S110の欧州仕様の名称は日本と同じシルビアでした。
2代目200SX (1993~1999) 日本名:シルビア(S14)
S14へのモデルチェンジによりSR20エンジン搭載、名実ともに2リッター車になります。
リアバンパーは欧州の横長形状のナンバープレートに合わせたデザインに変更されているほか、反射板が追加されています。また後期型のフロントバンパーは北米240SXのデザインに準じたものです。
欧州向けについても北米向けと同様、S14を最後に販売終了しています。
By Vauxford, CC BY-SA 4.0, Link
オーストラリア・ニュージーランドでの200SX
初代200SX (1989~1993) 日本名:180SX
欧州向け200SXと同様、180SXのみ輸出され、S13シルビアは未投入です。
1800ccのCA18しかなかった欧州の200SXとは違い、マイナーチェンジによって日本仕様と同じ2000ccのSR20に切り替わっています。
2代目200SX (1993~1999) 日本名:シルビア(S14)
S14は欧州向け200SXから特に大きな違いはありません。
3代目200SX (1999~2002) 日本名:シルビア(S15)
オーストラリア/ニュージーランド仕様の200SXで特筆すべき点は、S15シルビアの輸出仕様の存在でしょう。
S15シルビアは基本的に日本国内専売モデルですので、この2国以外では輸出されていません。この200SXの存在はレアケースといえます。同じ右ハンドル圏なので投入しやすかったと思われます。
グレードはスペックRとスペックSの2構成で、日本ではそれぞれがターボ車、NA車になりますが、この200SXはどちらもターボ車です。
2002年に日本でのシルビア生産終了に伴い、200SXもここで完全に幕を閉じました。
まとめ
この記事では日産200SX/240SXについて解説しました。
特に200SXは輸出先によってモデルの歴史が全然違いますので、名前は同じでも地域ごとに違う独自のモデルとして網羅すると良いかと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!