ロータスの隠れた意欲作!2代目エラン(M100)を解説

2022年2月28日

ロータスが飛躍するきっかけとなった名車、初代エランの成功をもう一度夢見て誕生したのが、M100と呼ばれる2代目エランです。

現在では先代やこの後に登場したエリーゼの陰に埋もれがちですが、今までのロータスにない新しいチャレンジを試みた意欲作でもあります。

今回はそんな2代目エランについて解説していきます。

歴史

エラン復活への道のり

初代エランは1975年には全モデルが生産終了となりましたが、この車名の復活は翌1976年にはすでに構想されていました。

1981年頃にはクローズドボディの試作車M90が開発されました。後に1/1の実車が製作された際には、当時ロータスと提携関係にあったトヨタによるエンジン4A-GEが搭載されました。

このプロトタイプM90は開発が進み、オープンモデルのX100へと発展します。

この時まではトヨタ製エンジンの使用を前提としていましたが、1986年にGMがロータスを買収したことにより、GMグループ内のエンジンを使用する方針に変更されました。

こうして1989年に2代目エランが登場したのです。

ロータス・エラン(1989~1992, 1994)

Lotus Elan (4637196552).jpg
By nakhon100Lotus Elan, CC BY 2.0, Link

復活したエランの内容は、多くのファンに驚きと困惑を与えました。

一番のトピックスは、駆動方式がFFとなったことです。

FFを採用した背景としては、GMの意向であったり、他メーカーのクルマの開発やセッティング業務も請け負っていたロータスがFF車に対する技術力をアピールする為だったとも言われています。

またエンジンにはプロトタイプと同様に日本製のものが採用されています。

当時同じGMグループ内にいたいすゞによる4XE1と呼ばれるエンジンで、1.6Lの直列4気筒DOHC16バルブという内容になります。

NAとターボの2種類が用意され、日本へ正規輸入されたのはターボモデルであるSEの1種類です。

完成度の高いFFスポーツカーとして評価を得ましたが、開発費の高騰により価格が割高になってしまいました。日本での新車価格は665万円と、輸入車であることを考慮しても高価であると言わざるを得ませんでした。

また保守的なスポーツカーファンからはFFという点が不評で、食わず嫌いにも悩まされた1台でした。

そして同時期に初代マツダ・ロードスターがデビューしたことも大きな痛手でした。多くの人は手ごろな価格で尚且つFRであるロードスターの方に魅了されていったのです。

結局エランは1992年に生産中止。しかしロータスのオーナーがGMからブガッティに移った1994年にエランS2という名称で800台限定販売されたこともあります。

起亜・エラン(ビガート) (1996~1997)

Kia Elan 1X7A8113.jpg
By Alexander Migl, CC BY-SA 4.0, Link

一時復活したエランS2も800台で終えてしまいましたが、今度は意外なところからエランが再々復活します。それが起亜エランです。

1996年に生産設備が韓国の起亜自動車に譲渡され、再デビューを果たしました。

起亜エランは自社製の1.8Lエンジンを搭載。韓国の道路状況に合わせてサスペンションにも見直しが入っています。

ロータス・エランとの判別方法として、分かりやすいのがテールランプのデザインです。また純正状態であれば、ホイールとちょっと高い車高も異なる点です。

日本ではビガートの名称で少数が輸入されたことがあります。

特徴

ロータス初のFF車

2代目エランはロータス初のFF駆動のクルマです。

FFスポーツカーの可能性を高めるべく、ハンドリング性能に拘って開発されました。

GMからの資金提供を受けていた事もあり、この本格FFスポーツカーの開発にはかなりのコストが掛かっています。

ワイドトレッドにショートホイールベースという外観も、FFのネガを打ち消す為の工夫です。

結果として、エランのハンドリング性能は評論家から高い評価を得られました。

FFということに懐疑的だった人々も、一度運転すればその素晴らしさを実感できるほどでした。

信頼のおけるエンジン

搭載されたいすゞ製のエンジン4XE1は信頼のある頑丈なエンジンとして定評で、ヨーロッパではこのエランを維持する上でのメリットであると評価しています。

自前で乗用車を開発していた時代のいすゞにあまり馴染みのない方は、スポーツカーにいすゞのエンジンという組み合わせにピンと来ないかもしれません。

4XE1エンジンを初めて搭載したクルマは、1988年に登場したいすゞ・ジェミニのハンドリング・バイ・ロータス。つまり、このエンジン自体の開発にロータスが関与しているのです。

エランに搭載するエンジンは開発時点で他にも複数候補が上がっていましたが、4XE1はまさにうってつけのエンジンだったといえます。

デザイン

Lotus Elan M100.JPG
By KarleHorn, CC BY-SA 3.0, Link

ボディデザインはエスプリのビッグマイナーチェンジも担当したピーター・スティーブンスによるもので、ミニ・エスプリといった趣きのエクステリアが印象的。

切り詰められたオーバーハングに低いノーズは、本当にFF?と思うようなプロポーションです。

前述したように、ハンドリング性能に拘った結果としてワイド&ショートなフォルムを形成しています。このサイズ感はランチア・ストラトスが近いイメージです。

Lotus Elan 1588cc registered August 1995.jpg
By Charles01, CC BY-SA 4.0, Link

豆知識

コンセプトカー・M200

1991年のフランクフルトモーターショーでコンセプトカーM200が発表されました。このクルマはエランをベースにフロントウィンドウやリトラクタブルヘッドライトを廃止したレーシーなモデルで、ちょっと後のイレブンを彷彿とさせる内容になっています。

起亜製でもハンドリング・バイ・ロータス

起亜エランはロータス時代からエンジンやサスペンションを変更していますが、そのセッティングを担当したのは当のロータスだったりします。

相場

2代目エランを購入するのであれば、300万円ほどの予算が必要になると見込まれます。

このクルマの問題は金額よりも、元々の生産台数が多くない為にタマ数が非常に限られている点です。

ロータス車の販売に長けているショップに探してもらうのが堅実な方法だと思います。

まとめ

商業的には失敗に終わってしまった2代目エランですが、ロータスがかなり力を入れて開発したスポーツカーであることに変わりはありません。

ロータスがFFにどれだけ本気で取り組んでいたのか、気になる人は手を出してみる価値アリです。

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