MG Fってどんなクルマ?MG最後のライトウェイトスポーツカーを解説!

2022年2月28日

「ライトウェイトオープンカーに乗りたい!」

「マツダ・ロードスターも良いけれど、定番から外れたクルマを選びたい」

絶版車も視野に入れてライトウェイトオープンカーを探すと、色んな車種が候補に上がってくるかと思います。

今回はその中でも、MG Fというクルマについて、どんなクルマなのかという所から解説したいと思います。

歴史

スポーツカーが消えていたMG

「MG B」や「MGミジェット」が多くのエンスージャストから人気を集めていたMGでしたが、この2車種が1980年までに姿を消すと、スポーツカー不在の時代が続きました。

スポーツカー以外のラインナップに目を向けると、ローバー車のバッジエンジニアリングモデルが数台という状態。MGブランドのアイデンティティはどんどん薄まり、このままではMG廃止もあり得る状況でした。

MGブランド再建の兆し

そんな折に登場したのがマツダ・ロードスターでした。

MG Bやミジェットからインスピレーションを受けて開発されたロードスターは世界中でヒット。

ライトウェイトスポーツカーが求められている事を痛感したMGは再びスポーツカーを送り出す事でブランド再建を目指すのでした。

とはいえ、一からスポーツカー専用のプラットフォームを開発するだけの資金も時間もなかったMG。

まずは1993年にMG BをベースにV8エンジンを搭載し、外観をモダナイズしたRV8を台数限定で発売。

RV8発表の時点で次の一手として1.6〜2.0Lクラスのスポーツカーを計画していると明かしていました。

そして1995年にデビューしたのがMG Fになります。

MG F (1995〜2002)

1997 Rover MGF - Flickr - 111 Emergency.jpg
By 111 Emergency1997 Rover MGF, CC BY 2.0, Link

MGにとって久しぶりの新規開発となる量産スポーツカーとして生まれたMG F。

とはいえFRの専用プラットフォームは用意出来なかった為、ローバー100のプラットフォームがベースになっています。

これによってエンジンレイアウトがミッドシップになりました。

エンジンは1.8LのKシリーズを採用。1996年には可変バルブ機構のVVCを搭載したK1.8VVCが追加されています。

トランスミッションは発表時点では5MTのみの設定でした。

またMG Fの足回りは、後述するハイドラガス・サスペンションというシステムを採用しています。

2000年にはMk.2と呼ばれるマイナーチェンジを実施。エンジンに1.6Lモデルが追加されました。同時にCVTも追加されています。

販売は好調でしたが、2002年に一旦生産が終了しました。

MG TF (2002〜2005, 2008〜2011)

2005 MG TF Spark 135 1.8 Front.jpg
By Vauxford, CC BY-SA 4.0, Link

MG F生産終了から少し間を置いた2002年にMG TFへモデルチェンジしました。

基本的な内容はMG Fと同じですが、ハイドラガス・サスペンションを廃止し、ダブルウィッシュボーンに変更されました。

外観ではフロントマスクがシャープなデザインになっています。

日本市場にも導入されましたが、程なくしてMGローバーの経営破綻により、2005年に販売終了しました。

しかしTFはこれでは終わらず、2008年に南京汽車傘下になった新生MGによりTFの生産が再開されました。

南京汽車によるTFの生産は2011年まで行われました。

特徴

往年のMGスポーツカーの血統を感じるエクステリア

1995 MG F 1.8.jpg
By Vauxford, CC BY-SA 4.0, Link

MG F (15743920667).jpg
By JeremyMG F, CC BY 2.0, Link

ミッドシップとなったMG Fですが、その外観はリアサイドのエアスクープ以外はフロントエンジン車に見えるようなものになっています。

実はプロトタイプの時点ではリトラクタブル・ヘッドライトを採用し、もっとノーズが低く、ミッドシップである事を強調したデザインでした。

しかし最終的には、かつてのMG Bやミジェットの流れを汲むスポーツカーであることがイメージ出来るデザインになりました。両車の最終型の面影が見られるフロントマスクが主たるものでしょう。

全体的に攻撃的な印象がなく、親しみやすいデザインになっています。

快適な乗り心地を手に入れたハイドラガス・サスペンション

MG Fのメカニズム上での特徴はハイドラガス・サスペンションを採用している点です。

ハイドラガス・サスペンションは元々一部のミニやADO16と呼ばれるモデル(日本ではバンデン・プラ プリンセスが有名)に採用されていたハイドロラスティック・サスペンションを発展させたシステムになります。

まずハイドロラスティック・サスペンションとは、サスペンションの金属スプリングの代わりにゴム製ブーツが付き、その中に水とアルコールの混合液を満たすことでスプリングの役割を果たす仕組みになります。

MG Fが採用したハイドラガス・サスペンションは液体に加えて窒素ガスを併用しています。

窒素ガスと液体によって路面からの衝撃を吸収するサスペンションの採用により、しなやかで快適な乗り心地を手に入れました。

その反面、メンテナンスの方は煩雑になってしまいましたが…。

豆知識

  • MG Fは日本でも好評を持って受け入れられ、日本カー・オブ・ザ・イヤーのインポートカー部門を受賞しました。
  • モータースポーツ界でも注目されたMG Fは、ワンメイクレースが開催されていた事があります。
  • MG TFではGTというクーペモデルのプロトタイプが製作されたことがあります。他にもXPowerという過激なパフォーマンスモデルも発表されましたが、いずれも市販化される事はありませんでした。
管理人が所有する、MG Fワンメイクレースのパンフレット

相場は?

2021年現在の中古相場は50〜120万といったところ。

MG Fは日本でも結構な台数が販売されましたが、現存数が少なくなってきています。

これにはハイドラガス・サスペンションの故障や部品供給の問題が背景にあります。

車高が落ちている車両はハイドラガス・サスペンションから窒素ガスが漏れている可能性が高いです。

ハイドラガス・サスペンション内で密閉された窒素ガスの補充は専門の技術が必要になります。

イギリスでは専門の修理業者がいますが、日本では修理に苦労してしまいます。

解決するにはリビルト品を海外から入手するか、金属スプリングへコンバージョンするかになりますが、いずれも手間がかかります。

ならばハイドラガス・サスペンションが廃止されたTFはどうかというと、こちらは更に台数が少なかったりします。

MG Fの時点で欲しい人にある程度行き渡っていたのと、当時既にMGローバーの不透明な先行きに不安を覚えた人は積極的に手を出さなかった為、そもそもの販売台数が少ないのです。

程度の良い個体を見つけるのは根気と運が必要になりそうです。

まとめ

MG FはMGブランドを復活させるべく登場した、気合の入った1台です。

ハイドラガス・サスペンションのメンテナンスには難がありますが、古き良き英国ライトウェイトスポーツカーの香り漂う世界観はこのクルマの持ち味です。

みんなとは一味違うクルマに乗りたいという方にとって、悪くない選択肢だと思います。

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