クラシック・ミニの個性豊かなバリエーションを追う―バックヤードビルダー編
クラシック・ミニはそのシンプルな構造によって、バックヤードビルダーのような小規模の自動車メーカーから恰好のベース車両として選ばれました。
エンジン等パワートレーンや前後サブフレームを流用しつつも、全く別の姿へと生まれ変わっているクルマが多数存在し、その数は100種類以上あると言われています。
全てを網羅するには膨大な数になる為、今回は比較的名の知られているモデルを抜粋して紹介します。
目次
ミニ・マーコス
By Charles01, CC BY-SA 3.0, Link
この手のミニベース・スポーツカーの中では最も有名なクルマといえるのが、マーコス社が手掛けたミニ・マーコスでしょう。
マーコスは組立をユーザーが行う、所謂キットカーを販売するメーカーとして創業。
ミニ・マーコスもキットカーとして販売され、エンジンやシャシーをミニから流用していました。
1966年のル・マン24時間レースでは英国車として唯一完走を果たすなど、モータースポーツでも記録を残しています。
オリジナルは1965年から74年まで生産され、1992年から96年には再生産もされていました。
マイダス
By Vauxford, CC BY-SA 4.0, Link
D&Hファイバーグラス・テクニクス社がミニ・マーコスの製造権を購入して誕生したのがマイダス。
スタイリングはミニ・マーコスの流れを汲みつつモダンな雰囲気に。
マーコスと同様にキットカーとして販売され、やはりミニのエンジンやパワートレーンを流用しています。
途中からは「マイダス・ゴールド」が追加され、こちらはオースチン/MG・メトロがベースになりました。
ユニパワーGT
By Vauxford, CC BY-SA 4.0, Link
ミニのパワートレーンをミドに搭載したのが、このユニパワーGT。
生産元のユニバーサル・パワードライブ社は元々ユニパワーのブランド下でトラックや農業機械を販売していました。
同社の所有者であったティム・パウエルがこの小型スポーツカーのプロジェクトに興味を示し、量産を実現させたのです。
当初はキットカーとしての販売も予定されていたようですが、ほとんどは完成車として出荷、その生産台数は75台とされています。
COX GTM
ミニのエンジンを流用したミッドシップの2シーターで、キットカーとして販売されました。
先に紹介した同じミッドシップであるユニパワーGTとは違い、サスペンションもミニから流用しています。
キットカーメーカーとして知られるGTMカーズの設立と同時に発表され、キットカーとしてヒットを記録。
1967年の登場から断続的に1995年まで生産が続きました。
オーグル・SX1000
By Brian Snelson – 1962 Ogle SX1000, CC BY 2.0, Link
オーグル・SX1000は工業デザイナーのデビッド・オーグルが手掛けた2+2のクーペモデル。
小さな車体ながらも丸目2灯ヘッドライトや流麗なクーペフォルムを採用し、GTカーとしての性格付けがされています。
当初は顧客が持ち込んだミニをベースに専用ボディへ架装するという販売形式がとられていました。
その後完成車としての販売では997ccのクーパー用エンジンが採用されています。
ピール・バイキング・スポーツ
By dave_7 – 1964 Peel Viking, CC BY 2.0, Link
マン島唯一の自動車メーカーであるピール・エンジニアリング・カンパニーが1966年に発表したクルマ。
同社が得意としていたグラスファイバー製造により、2+2のファストバッククーペに仕上がっています。
このクルマは非常に短命で、翌年1967年には生産を終了しており、25台程度しか作られなかったと言われています。
ちなみにピール社はあの世界一小さなクルマ、P50を生み出したところでもあります。
まとめ
今回紹介したクルマは見た目からはミニベースとは思えない、新たな個性が与えられたモデルへと昇華しているものばかりです。
日本でもここで紹介したようなクルマが少なからずイギリス本国から渡って現存しており、イベントなどで時折見かけることができます。
ヒストリックカーレースやミニのイベントなどで、見慣れない小っちゃいスポーツカーがいたら注目してみるのも良いかもしれません。