【かんたん解説】三菱FTOってどんなクルマ?
By Rutger van der Maar – https://www.flickr.com/photos/rutgervandermaar/49033124132/, CC BY 2.0, Link
今やフルラインナップの時代は過ぎ去り、SUV系をメインに少数のラインナップを構えている三菱自動車。
そんな三菱にはかつて、GTOやスタリオンにエクリプス等といった個性的なスポーツクーペを数多く輩出してきた歴史があります。
FTOもその内の1台として、マニアックな人気があります。FTOは当時画期的なメカニズムのATを採用した事で話題になりました。
今回はそんな三菱FTOについてかんたん解説していきます。
概要
FTOは1994年に三菱自動車から登場したスペシャリティクーペ。1990年に登場していたGTOの弟分としてデビューしました。
基本コンポーネンツはミラージュからの流用で、フロントにマクファーソン式ストラット、リアにマルチリンクを備えたサスペンションはランサーから流用しています。
FTOという名称は1971年に販売されたギャランクーペFTOがルーツ。このクルマもまた当時のギャランGTOの弟分という立ち位置にいました。
当初は日本市場専売車として販売されていましたが、後に右ハンドル圏を中心とした海外市場で限定的に展開されています。
6年ほど地道に販売されていましたが、新しい側面衝突安全基準への適合が困難となり、2000年で販売終了しました。
エンジン
エンジンは1.8L 直4と2.0L V6、MIVECを搭載した2.0L V6の3種類が用意されました。
1.8L 直4エンジンは4G93型のSOHCで、最高出力は125ps/6000rpm、最大トルクは16.5kgm/4500rpmを発生。GSグレードに搭載されています。
2.0L V6エンジンは6A12型で、170ps/7000rpm、19kgm/4000rpm。後期型と呼ばれるマイナーチェンジによって180ps/7000rpm、19.5kgm/4000rpmへ出力が向上しています。このエンジンはGRグレードが該当します。
2.0L V6エンジンには可変バルブタイミング機構のMIVECを採用した仕様もラインナップされました。そのスペックは200ps/7500rpm、20.4kgm/6000rpmという数値を誇ります。グレードはGPおよびGPXにて採用されています。
トランスミッション
トランスミッションはスポーツカーらしい5速MTが用意されたほか、マニュアルモード付4速ATを国産車で初めて採用しています。
INVECS-Ⅱと呼ばれるこのATは、ドライバーの運転時の習性を学習し、それに合わせたシフトタイミングを決定して制御しています。最適なシフトタイミングを決める演算にはニューラルネットワークが用いられ、高精度な制御を実現。INVECS-Ⅱは1997年のマイナーチェンジにより5速へ変更されています。
この学習機能を持つATがメカニズム面での売りであったFTOは販売面でもATが推され、スポーツクーペには珍しくAT車の比率が高いクルマとなっています。
特徴
高いコーナリング性能
重いV6エンジンを搭載するFF車であるものの、ハンドリング性能は高く評価されています。
固めにセッティングされたサスペンションと高いボディ剛性が優れたハンドリング性能に繋がっているのです。
1995年にホンダ・インテグラタイプRが発売されるまでは、国産のFF車では最速と評する声もあったほど。
デザイン
By Vauxford, CC BY-SA 4.0, Link
兄貴分のGTOとはまた一味違ったテイストのデザインが魅力のFTO。
「躍動感」をテーマとしたデザインは、ウェッジシェイプを持つスタイルが特徴。前後フェンダーにはボリューム感を持たせ、テールエンドは斜めに切り落としたような造形とし、スポーティな雰囲気が印象強くまとまっています。
By order_242 – Mitsubishi FTO 1994, CC BY-SA 2.0, Link
バリエーション
94-95日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞記念車
By Webcor, CC BY-SA 4.0, Link
FTOはその動力性能などが高く評価され、1994年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。
その記念モデルとして、「ダンデライオンイエロー」のボディカラーをまとった特別仕様車が500台限定で販売。FTOの純正カラーの中では一際鮮やかなカラーが目を引きます。
豆知識
モータースポーツ活動
1998~99年の全日本GT選手権のGT300クラスに参戦していたことがあります。エンジンはランエボでおなじみの4G63に置き換えられ、重量バランスを考慮した結果左ハンドルとなっていたのがマシンの特徴でした。
FTOはこの他にジムカーナやダートトライアルといった参加型競技にて数多く活躍しています。
FTO-EV
三菱のEV開発の一環として、リチウムイオン電池を搭載したFTOのEV仕様が1998年に製作されました。
航続距離は約150km、最高速度は180km/h以上というスペックを誇ります。
FTO-EVはEVラリーやテストコース内での24時間走行によって耐久性の高さを証明し、得られた知見は後のMiEVに生かされています。
映画への出演
1995年に公開されたジャッキー・チェン主演の映画『デッドヒート』にて、序盤のチェイスシーンに登場。日産R32スカイラインとの、タイトル通りの激しいデッドヒートが繰り広げられています。
現在の相場
大手中古車情報サイトで探してもヒットするのは10件程度と、タマ数は多くはありません。
100万円前後で購入できる個体が占めていますが、多くは走行距離10万キロを超えています。
また前述の通りATの販売比率の高かったクルマであるため、ミッションに拘りがある場合は更に台数が絞られてくるでしょう。
このぐらいになると年式・距離相応のヤレが出始めるので、こまめなメンテナンスを怠らずに維持する心掛けが大切です。
まとめ
今回は三菱FTOについて紹介しました。
FTOはATでも楽しめるスポーツカーとして意欲的な技術を投入し、デザインも個性的なスポーツクーペで、隠れた名車といえるクルマです。
今後三菱からこのような2ドアスポーツクーペが登場する可能性は低く、今や貴重な存在に。
タマ数も少なくなってきており、欲しくなったら早めの行動が必要となってきています。
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