【かんたん解説】サーブ・ソネットってどんなクルマ?歴代モデルを解説

国籍・年式を問わず、世界中のクルマを取り上げて解説していくシリーズ。

今回取り上げるのはサーブ・ソネットです。

1950~70年代に生産されたスポーツカーであるソネット。当時のサーブは92や96などの一風変わったクルマをリリースしていた時代で、ソネットも他のどのクルマにも似ない個性的なスタイリングが特徴でした。

今回は初代から最終モデルまで、歴代ソネットを解説します。

概要

サーブ・ソネットはサーブが1956年および1966年から74年まで生産していたスポーツカー。サーブ唯一のピュア・スポーツカーとして知られています。

同ブランドの主力モデルである93および96をベースにしており、個性的なFRP製のボディが特徴。

ソネットは年代や搭載エンジンによって4種類に区別可能です。

  • ソネットⅠ (1956年)
  • ソネットⅡ (1966年〜68年)
  • ソネットV4 (1967年〜69年)
  • ソネットⅢ (1970年〜74年)

量産化されたのはソネットⅡからで、アメリカ市場を強く意識したモデルです。1960年代のアメリカではMGやオースチンヒーレーといった欧州製スポーツカーが人気を博しており、サーブもこれに追従した形になります。

最後にはアメリカの排ガス規制への対応が困難になったことにより生産終了となりました。以降サーブには本格的な2シーター・スポーツカーは登場せず、2016年にブランドそのものが廃止されてしまいます。

歴代モデル

ソネットⅠ

Saab sonett.jpg
By Mangan02, CC BY-SA 4.0, Link

最初にソネットの名前が登場したのは1956年のこと。当時サーブのエンジニアであったロルフ・メルデのプロジェクトで製作されたのがソネットⅠです。

このプロジェクトの目的はラリーで活躍していた93のポテンシャルをサーキットでも生かすことでした。93をベースにチューニングし、2シーターのFRP製軽量ボディを架装しています。

エンジンは93と同じ3気筒748ccの2サイクルで、ベースの33馬力から57.5馬力へチューニングされています。

ソネットIでは2000台の生産が計画されていました。しかしコストアップによる価格高騰が避けられないことから量産は見送られ、プロトタイプ6台のみの生産で終わってしまいます。

ソネットⅡ

1966 SAAB Sonett II Greenwich.jpg
By Mr.choppers, CC BY-SA 3.0, Link

ソネットの名前が復活したのは、ソネットIから10年ほど経った1966年。アメリカをメイン市場とした2シーター・スポーツカーとして登場しました。

先代と同じように、今度は96をベースに個性的なデザインのFRPボディを架装しています。フェンダーごと前方へ開くフロントフードが特徴で、下の写真のようにエンジンメカニズムが良く見えます。

エンジンは2サイクル3気筒850ccで、96の40馬力に対して60馬力までアップ。

当時のライバルはオースチンヒーレー・スプライトやMGミジェット、トライアンフ・スピットファイアなど、やはりアメリカでよく売れていたスポーツカーが挙げられます。

ソネットIIからは市販化されたものの、生産台数は試作車24台を含めても258台しか作られませんでした。

Sonett-mk2-engine.jpg
By Liftarn, CC BY-SA 3.0, Link

ソネットV4

Intsaab2016 22 - Saab 97 II.jpg
By Herranderssvensson, CC BY-SA 3.0, Link

1967年からはソネットV4と呼ばれるモデルが登場しました。

ソネットV4はソネットIIのボディに1500ccのV4エンジンを換装したクルマです。V4エンジンはフォード・タウヌスのもので、96が同エンジンに変更したのに合わせてソネットにも採用されました。

V4エンジンにより出力は65馬力に向上しましたが、重量も増加。加速性能はそれほど変わっていません。

ソネットIIとの外観の違いは、V4エンジンを収めるために追加されたボンネットのパワーバルジ。ドライバーの視界を妨げないよう、やや右寄りに設置されています。

1967年から生産が開始され、1,610台が作られました。

ソネットⅢ

1974 Saab Sonett III in yellow, front left (Lime Rock).jpg
By Mr.choppers, CC BY-SA 3.0, Link

1970年にはソネットV4に大幅なデザインの手直しが行われ、ソネットIIIへと発展します。

デザインを手掛けたのはイタリアのデザイナーであるセルジオ・コッジオーラ。丸みがあったソネットV4までとは打って変わり、直線的でシャープなデザインへ変貌しました。

機能面でいうと、リトラクタブルヘッドライトの採用やガラスハッチによる3ドアクーペ化、フェンダーごと大きく開いたフロントフードの廃止が大きな変更点になっています。特にフロントフードについては新たに設けられたフードの面積がかなり小さく、整備性は大幅に悪化しました。

スペック面では、欧州向けはソネットV4から変化なしの65馬力。しかしアメリカ向けは排ガス規制対応のために55馬力に落ちてしまいました。

パワーダウンしてでも延命を図ったソネットIIIですが、更に厳しくなったアメリカの排ガス規制に対応できなくり、1974年に生産終了します。後継車は登場せず、サーブはスポーツカー市場から手を引いてしまいます。

復活計画

ソネットが廃止された1974年以降、復活計画は何度か上がっていたものの、実現には至っていません。

1970年代にはまずソネットIIIを手掛けたセルジオ・コッジオーラによるソネットVが計画されていました。

GM傘下時代にも、ポンティアック・ソルスティスをベースとした2シーターとして、または2011年に発表されたコンセプトカー「フェニックス」の市販版の名称として、何らかの形でソネットの名前を復活させようとしていました。

しかし何れも市販にこぎ着けることができず、2016年にサーブブランドが廃止されたことで、ついにソネット復活の可能性は消えてしまいました。

まとめ

サーブ唯一のピュアスポーツカーであったソネット。初代を除いてアメリカ市場を強く意識していた点もサーブとしては珍しいクルマでした。

販売面では成功を収めたクルマではありませんが、サーブを語る上で興味深い1台です。

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